自毛植毛にはFUT法とFUE法の2つがあります。どちらにもメリットやデメリットがあるので、どちらを選ぶのがベストなのか悩む人が沢山います。そこで今回はそれぞれの特徴やポイントを比較しながら、生着率や痛み、ショックロスなど、植毛した跡などみなさんが悩んでいる部分を分かりやすく説明していきます!
植毛のドナー採取とは?
FUE法とFUT法は、植毛するときにおこなうドナー採取の方法です。そのために、まずはドナー採取についておさらいです。
植毛していくには以下の3ステップあります。
①ドナー採取⇒植毛する毛髪を後頭部から採取します。
②グラフト作り⇒採取した髪の毛(ドナー)を植えみやすいようにリサイズしたり、切り分けたりします。
③グラフトの植え込み⇒最後に採取したグラフトを薄くなった部分に植えて行きます。髪の毛を実際に移植する作業です。
この3つの行程で植毛は行われますが、今回テーマになっているFUEとFUTについては①のドナー採取のときにどんな方法でおこなうかという術式についてです。
FUT法とFUE法のポイントを比較
まずはFUT法とFUE法の2つの術式のポイントをグラフでまとめてみました。一番分かりやすい違いは、メスを使って移植する髪の毛を採取するのがFUT法、メスを使わずに移植する髪の毛を抜いて採取するのがFUE法です。
FUT法 | FUE法 | FUE法 | |
ドナー採取の方法 | メスを使用し、移植する毛髪を皮膚ごと切り取る | メスを使わずに、移植する髪の毛をパンチで抜き取る | メスを使わずに、移植する髪の毛をパンチで抜き取る |
ドナー部分 | 刈り上げる | 刈り上げる | 刈り上げない |
術後の痛み | 縫合するので違和感が残る | ほとんどない | ほとんどない |
傷跡 | 縫った跡(横に一直線)が残る | まばらに採取した部分が薄くなる | まばらに採取した部分が薄くなる |
生着率 | 90 | 80 | 80 |
このようにそれぞれには特徴があります。
1)FUT法(Follicular Unit Transplantation)とは?
自毛植毛のFUT法はメスでドナー部分を切り取る方法で、これまでの植毛では一般的な術式として確立されていた術式です。世界中でおこなわれている植毛オペのほとんどがこの方式を採用していました。
-メスを使って施術するFUT法の特徴
– 後頭部から縦に1センチ位×横10-20センチ位の毛髪を皮膚ごと切り取る
– 皮膚を切り取った後に縫合するので、縫った傷跡で残る。
– 縫い傷はしばらく残るので目立ちやすい。
-ドナー(移植毛)を傷つけるリスクが低いので生着率が高い。
FUT法はこれまでの植毛の標準術式でした。メスを使わないFUE法に比べると痛みや傷が気になりますが、採取した毛根の切断率が低いことから、定着率が高いというメリットがあります。採取したドナーが傷まない理由は、後頭部から帯状にドナーを採取するので皮膚の中にある毛細胞を確認しながら株分けできるからです。この方法はメスを使用するため、縫合が必要になるのがデメリットと言えます。
FUT法が得意なクリニックはこちら
アスク井上クリニック、親和クリニック、ヨコ美クリニック、紀尾井町クリニック
2)FUE法(Follicular Unit Extraction)とは?
自毛植毛のFUE法はメスを使わずにドナー採取するので、患者さんから人気があり最近では主流になりつつある術式です。ロボット植毛(ARTAS)などはこのFUE法を採用しています。
メスを使わないで施術するFUE法のポイント
– メスを使わないので傷跡が目立たない
– 極小のパンチで穴を開けながらドナーを採取していく。
– 熟練した技術が必要なので下手な医師だとドナーを傷つけてしまう
-ドナー採取する部分を刈り上げなくてもできる。(オプション)
FUE法はメスを使わないでドナー採取ができるので傷跡が残りません。ドラフト採取した部分には、パンチの跡が多少残りますが、髪の毛が生えてくればその跡は分かりません。ただし小さなパンチでグラフトを採取していくので、技術がないお医者さんがドナー採取すると、頭皮の下にある毛細胞を傷つけたり、ドナーを裁断してしまうリスクがあります。またロボット植毛のARTASはこのFUE法でのグラフト採取です。
FUE法が得意なクリニックは
タワーアイランド、アスク井上クリニック
自毛植毛 FUE法とFUT法の傷跡を比較
FUE法とFUT法でのポイントは傷跡の違いです。後頭部で見えなくなるとはいえ、傷口が残ることに多くの人が抵抗を持ちます。FUT法とFUE法で植毛した直後の状態と、しばらく経過したあとの傷口の写真を比較してみました。
FUT法の傷跡
出典:www.nhtjapan.com
FUT法で植毛した場合にはこのように薄い傷跡が後頭部に残ります。ただし、後頭部は髪の毛が覆い被さるので、このように髪の毛をかきあげてしっかりみたり、短く刈り上げないと分かりません。
FUE法の傷跡
FUE法では縫合がないので縫い傷の様な跡は残りません。パンチで切り抜いた部分が少しスペースが空いているように見える程度です。
自毛植毛 FUE法とFUT法で定着率は違うのか
一般的に定着率が高いのはFUT法だと言われています。その根拠はFUTはメスを使って皮膚ごと採取するので、皮膚の下に埋まっている毛根・毛包などの細胞を目で確認しながらグラフト分けできるからです。頭皮の下に埋まっている大事な細胞部分が見えるので、ドナーを傷つけずに作業を行えます。
一方でFUE方の場合は、頭皮の下にある毛根・毛包が目で見えない状態での採取作業となります。目で見えない部分から採取するので、ドナーを傷めてしまうリスクは高まります。また経験不足の医師が行うと、パンチで穴を開けてから引き抜くときに、裁断してしまうということも。ただしFUE法がの生着率が低いというのは医師の技術に左右されるため、技術が高いお医者さんや医師がオペした場合には、FUTと変わらない生着率を実現できます。また最近ではARTASの植毛ロボットが導入されていますが、機械がドナー採取する場合には目で見ない頭皮の下を、数台の顕微鏡のようなカメラでスキャンしながら行って行くので、ドナーをほとんど傷つけることなく採取できます!その場合にもFUT法とFUE法での生着率にも大差はありません。
FUTとFUE 費用や料金が安いのはどっち?
料金を比較すると、FUE法の法が植毛コストは安く抑えられます。なぜかというとFUT法だとドナー採取する部分をまるごと採取するので、採取する作業は一度で終るからです。それに比べてメスを使わないFUEの場合は、後頭部から一本ずつ手作業でドナーを採取する必要があり、時間と労力が大幅に掛かります。具体的な金額としては、だいたい25〜40%くらいの違いが発生します。
FUT植毛でもFUE植毛でもショックロスとは無関係
FUTとFUEでどちらがショックロスが抑えられますか?という質問を受けますが、ショックロスは術式とは無関係です。ショックロスとはドナーを植え込んだあとに発生する副作用のような症状です。植えた毛髪の密度が高過ぎると脱毛してしまうという一時的な症状であって、ドナー採取の方法とは関係ありません。
ショックロスについてはこちらの記事を参照⇒ショックロスってどんな症状?
大量の本数を植毛をするならFUTがオススメ
植毛の生着率は、ドナー採取から植え込みまでのスピードが影響します。一度に大量に植毛する場合はドナー採取にとても多くの時間が費やされるので、植毛完了するまでの時間がどうしても長くなります。そうすると定着率が下がるリスクがあがります。
その場合は、植毛をできるだけ早く終らせるためにFUT式がオススメです。FUTなら皮膚からドナー部分を切り取って一気に株分けまで終えることができるので、植毛までの時間短縮が可能です。一方でFUEだと一本ずつ後頭部から移植毛を採取するので、どうしても時間が掛かってしまいます。
だから大量に植毛をする場合には、FUTが適切な方法と言えます。もしもメスを入れるがどうしても嫌だという場合には、植毛手術を二回か三回に分けて行えば、生着率を下げる事なく植毛が行えます。
女性の植毛場合はどっちの術式がよいのか
女性は傷跡に対してのとても敏感でなので、傷跡が残らないFUE式を選ぶケースが多いです。女性だからといって効果に違いはありませんが、体にメスが入る事に抵抗ある人が多く、傷に対してもネガティブな反応が多いです。
FUE植毛、FUT植毛 どんな人にオススメなのか
メスを使うFUT法がオススメなのはこんなタイプの人
FUT法のメリットを考えた場合に、以下に当てはまるタイプの人にはオススメと言えます。
- コストを抑えたい
- 定着率を上げたい
- 広範囲で大量の植毛を一度で済ませたい
- 頭皮が硬くてFUEが向かない
- 傷や痛みはそんなに気にならない
FUT法を積極的に利用される患者さんの傾向としては、費用を安く抑えたい、生着率の高さを重要視する人です。コスト重視なら確実にFUT法です。また生着率で考えた場合にもFUT法はFUE法よりも定着率が高いので、確実な効果を選びたい人にもFUT法がオススメです。痛みや傷がそれほど気にならないという人にもオススメ出来ます。一度の植毛で広範囲に大量の植毛をする人の場合には、FUT法を選択する法が無難と言えます。
また費用を抑えたいという人であればコスト面でもメリットが大きいFUEがおすすめです。
メスを使わないFUE法がオススメの人はこんなタイプの人
FUE法のメリットを考えた場合に、以下に当てはまるタイプの人にはオススメと言えます。
- メスを使う手術がこわい
- 植毛後に傷口が目立つのはイヤ
- 切ったり縫合したくない
- ドナー部分を刈り上たくない
FUE法は傷や痛みに抵抗がある人にオススメの術式です。手間がかかるので若干費用は上がりますが縫い傷が残らないので植毛したことはバレにくいです。なので費用や植毛の時間が長くても構わないから傷口が小さくしたいという場合にはFUE法がオススメです。またFUTに比べて生着率が下がると言われてますが、最近では植毛技術もどんどん向上しているので、生着率の差はほとんどなくなりつつあります。定着率がFUT法よりも低い事も念頭に入れておく必要はありますが、そこまで大きな違いはないと言えます。とくに技術が確かなクリニックでなら、FUTに比べてまったく遜色がないです。
FUE法は手術後の傷の回復も早いので、早く仕事に復帰したい、誰にもバレたくないという人にオススメです。
FUE法を得意とする技術が高い植毛クリニックはココ
FUT植毛とFUE植毛のまとめ
FUT植毛とFUE植毛の2つの違いを理解してもらえたでしょうか。それぞれの術式にはメリットとデメリットがありますが、自分は何を優先したいかがとても大切です。最近の主流としてはFUE多く、傷を残したくないという患者さんが増えていますが、FUTの安さが重要という人も以前としてたくさんいます。またFUE植毛が得意なクリニック、FUT植毛が得意なクリックなどもありますので、どちらか事前に決めている場合には、それぞれに適切なクリニックを選ぶと満足の植毛ができます。もしもどちらか決められないから先生のアドバイスがほしいという場合には、どちらも出来るクリニックをオススメします。アスク井上クリニック、アイランドタワークリニック、ヨコ美クリニックならどちらの術式でも植毛する事が可能な上、確かな技術があるので安心して相談できます。まずは気軽にカウンセリングを受けてみるのもいいですね。もしくはこちらのお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください!